No title
expect despair
胡蝶
6帖ほどの洋室。
僕と,一人の少女の姿。そのあどけなさと扇情的な表情に吸い込まれ,買った少女。春に身を与えてやっては,僕は直ぐにそれを犯し続けたソレ。一度は飽き安寧へと落ち着かせていたところであったが,再びこれに色を扮してやると衝動は増した。
その扁形は随分といびつである。上半身を見ると余程に頭部とのバランスがおかしい。額は僕の一回りかは大きく,他方で腰回りや太ももは僕の半分にも及ばない。しかし僕の前に現れるところのソレは,もはやその限りのものではありえなかった。僕の想定通りの体格をしており,僕が足首に触れると直ぐに腿を優しく僕に絡ませてくる。その汗ばんだ太腿と爪先から踝を覆うシルクの靴下は僕の下半身にへばり付き熱を燻らせる。甘い声を上げ,その華奢な両腕を僕の胴に結びつける。しっとりとした息。全身を疼く甘味としての唾液。これに貪るその気に囚われ,専ら貪られる限り。
綿と布の若干2kgに抱かれ意識の底に沈む。真っ暗な安らぎの上にあった。
虚空
はっきりとその情景を覚えている夢がある。
気づいたらどこかもしれぬ寄席におり,そして奇妙なことに僕らは周りの人と同じフロアに座ることになっていた。それも小綺麗な格好をした若者がど真ん中に一列で座るときている。こんなものに戸惑わないはずがない。しかしながら来客はなにくわぬ顔をして入ってきている。僕も勝手がわからず苦悶としていたら着席することになっていた。
しかし多いな。畳の色を覗くことすらできやしない。こんな人の前で話すのか。メンツも中高生だかの各落語サークルによるお披露目な訳だったが,あまりに人影が多い。斯様な場所で気を張らぬわけがない。背中からゾッと緊張が走り頭から足まで一挙して冷や汗が湧き上がらんとしている。最初の演目が始まってもその緊張が和らぐことはなく,最早外界から入ってくる有意な情報を関知することは限りなく不可能であった。いな,有意な情報云々どころの騒ぎでない,一切の知覚が耳で起こりえなかったと補足すべきである。この時点で此処が異様な場所であると感知し始め,最早あの人とも判らぬ餓鬼畜生が蠢くあの大地とは全くの無縁であるという理解を得るに至るに時間はかからなかった。
ところで,僕はそもそも落語サークルなんぞに所属していたのだろうか。所属していないにも関わらず,いわんや稽古を行っていないにもかかわらず,何故僕がかくもおかしな格好をして人前に話すような機運が生まれることがあろうか。その時点でわけがわからない。あるいは,所属しているならばその限りありうべきところの稽古に出てしかるべきであり,この怠慢に掛錫されるに違いない,しかしそんなものは僕の脳裏に全く想定されえなかった。頭の中が空虚に殺されていく。並びに,こころなしか,僕やその前後の若い人間の服は死人が着るそれを思わせた。雑多な色が見られる観客とは比にならないほどの白。最早この一瞬で全て合点がついたといった心地であった。
それ自体として異様な,しかしあまりに印象的なものであった。
冴えて漸くして空腹感に襲われた。何を食べようか。
インターネット
nginxの.confファイルを適当に弄っている次第だけど実際に動くようにするにはsuperuserの権限を通してごにょごにょしないといけないらしい。めんどくさいので二日間くらい放置している。
やはり権限云々の周辺に無頓着なままの所為でよくわからない感じに塞がってしまった感じがする。人にしてもらう作業(ssl証明書の為の手続きとか)はだいぶ楽にできるけど自分で熟す作業がどこまでやればいいのか判然としないからいけない。
その道の人は往々にして感覚的に行えるらしい。素人目線ではあまり想像できない。恐らく物理や数学に初めて触れるのもこういう感覚なのだろうか。もう忘れてしまった。
ある深夜アニメの曲を思い出す。
某レーベル主宰の安定感あるサウンドに落ち着いた女性ボーカルによるものだった。
初めて開いた時の感情が疼く。昔のことを思い出すといちいち感傷的になっていけない。
夜明けは冷たく,森閑としていた。
残滓
後頭部が痛い。
立っていても寝ていても目の前のものと隔離がされているらしい。そこにある、あった、ありうる、その総てがもはや僕と相互作用しえないようですらある。
納得がいかない。触ってみて、或いは口に含んでみてようやく如何なる実体か掴むことができる。子供みたいだ。もはやそれ以上の価値基準を見失っているのか。好きにしてくれ。何も関わらないでくれ。
醒めたら朝だったとかいう夢
安寧に程遠き大地にまた同じ生を受ける。
もはや自明とされて久しいその不自然なルーティーンを繰り返し,これに抵抗しようにも拒絶することを許すことは到底できそうにない。
2日目。嫌な習慣だ。とても長々書く気にはならない。かがを求めてかげに投ずる。再び重力に委ねる。